ワタシシゴトチョットデキル

ひとまず読んだ本の紹介を続けていく

真野正『実践的データモデリング入門』の紹介

ずっと気になっていた『実践的データモデリング入門』を紹介する。

実践的データモデリング入門 (DB magazine selection)

実践的データモデリング入門 (DB magazine selection)

 

指標

  • テーマ:テーブル設計
  • 文章量:少なめ
  • 内 容:易しい
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★☆

内容

かなり飛ばし読みだったが簡単に内容を振り返る。

第1部 基礎編

まず、モデリングの動機や簡単な概論などイントロダクションから始まる。

第1章 なぜモデリングを行うのか

もちろんシステムの構築にあたり必要だからという結論に落ちるのだけど、データモデルを、

  • 概念データモデル
  • 論理データモデル
  • 物理データモデル

の3つに分けて説明している。

それぞれ分けたということは、個々に別の目的があるのだ。

今回、この本を読みたかったのは、概念データモデルについて知りたかったからだ。

第2章 モデルの基本作法

これからデータモデリングの話をしていくにあたって、基礎的な知識を説明している。

具体的には、

  • エンティティ
  • 属性
  • リレーション

の説明や、ERDの記法なんかについても触れている。

最初の方は常識ばかりだったが、後半はビジネスとの絡みが出てきておもしろかった。

例えば、リレーションシップはビジネスモデルを表すものとして説明されている。

言われてみれば当然な話で、依存関係やカーディナリティはビジネスに即した形で実装されるべきなのだ。

第3章 データモデルを補完するモデル

データ周りの設計にあたりERDと持ちつ持たれつになるいくつかの図/手法を説明している。UMLだったり、DFDだったり。

第2部 実践編

ここからは実際にどうやっていくかだ。大きく分けて2つの方針がある。

第4章 エンティティの切り出し方

データモデリングの手始めに、何をエンティティにするのかという話だ。

本章ではトップダウンモデルとしてビジネスフローから、

  • リソース系エンティティ
  • イベント系エンティティ

の順で切り出すべしとしている。

第5章 トップダウンでの主キーと主要属性の定義

そして、切り出したエンティティにどうリレーションを張るか、すなわちPKをどうするかという話に続く。

第6章 ネーミング標準とドメイン

さらに属性を精査していくうえで、命名規則ドメインの有効性について説明している。

第7章 ボトムアップ分析(その1)

続いてボトムアップモデルの話に移る。

その方法とは、画面設計から(そして、ほとんどの場合は現行システムの画面から)項目を拾い集め、テーブル設計に落とし込む方法だ。

第8章 ボトムアップ分析(その2)

上記を行うと、ある程度の情報は簡単に集まる。しかし漏れがないかを確かめたり、改めて依存関係を見直したりしなくてはならない。

そのために行うのがDFDの作成だったりCRUD分析だ。

第9章 トップダウンモデルとボトムアップモデルの融合

両モデルは、どちらかを選択しなければならないわけではない。むしろ、補完しあうものとして位置付けられている。

したがって両モデルは統合され、それが完成品となるのだ。

第10章 RDB理論とビジネスルール

冒頭でリレーションをビジネスモデルとして捉える話があったが、今度はRDBの制約をビジネスモデルとして捉えた話だ。

 

(以下、省略)

第11章 モデルパターンの活用
第12章 ツールの活用法
第13章 モデルレビューの視点
第14章 論理モデルから物理モデルへの変換
第15章 物理実装のポイント
第16章 ビジネス環境の変化に伴うモデルへの影響
第17章 モデルの変更管理

感想

仕事でモヤモヤしたのがきっかけ。ずっとビジネスを落とし込むという意味でのテーブル設計を知りたいと思っていた。

ただ、本を探してみても、ほとんどがERDの書き方か、RDBとしてのあり方(正規化)についてだ。そんな中、ようやくこの本にたどり着いた。

読んでみると意外とあっさりとした内容だった。というのもデータモデリング側の知識は、どれも基礎的なものばかりだったからだ。

結局、それをビジネスモデルとして捉えることができるか。逆に言えば、ビジネスモデルをデータモデリングの言葉に焼き直せるか。

その視点をトレースできたのが最大の収穫だった。

ただし、やってみないと身に付かないタイプの話だ。機会を見つけてデータモデリングの経験を重ねてから、もう1度読んでみたい。

『ビジネスモデル・ナビゲーター』の紹介

前に読んだビジネスモデルの本『ビジネスモデル・ナビゲーター』を紹介する。

ビジネスモデル・ナビゲーター

ビジネスモデル・ナビゲーター

  • 作者: オリヴァー・ガスマン,カロリン・フランケンバーガー,ミハエラ・チック,渡邊哲,森田寿
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2016/10/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログ (1件) を見る
 

指標

  • テーマ:ビジネスモデル
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★☆☆

内容

本書は一貫してビジネスモデルからのイノベーションを説明している。

根拠は単純で、競争優位を確立するには製品やプロセスではなく、ビジネスモデル自体がそれを生み出すご時世になってきているからだ。

PART1 ビジネスモデル革新の手引き

まず、本書で扱うビジネスモデルとは何か、そしてそのイノベーションの必要性を説明している。

ビジネスモデルは以下の4軸で特徴づけられる。

  • Who
  • What
  • How
  • Why

そして、このうちの2つ以上が刷新されたものをビジネスモデルイノベーションと定義している。

前述したようにビジネスモデルのイノベーションは必須だ。

そして、その全てをなんと55パターンにまとめることができたと説明している。

PART2 ビジネスモデル全55の勝ちパターン

ここからは55パターンのビジネスモデルイノベーションの説明が始まる。

各パターンにつき、その説明や具体例を説明している。

感想へ

感想

いやはやビジネスモデルの全てのイノベーションを55パターンにまとめたというのは信じてよいかわからないが、少なくとも何らかの研究に基づいているのは好感が持てる。

ところで、本書は読むだけでなくワークショップの実施を進めている。

具体的には、特定の業界に対して本書で紹介したイノベーションパターンを当てはめることができないか、というものである。

それ用のカードも用意されており無料でDLできるらしい。

bmilab.com

実は、(カードは使わなかったが)会社の同期でトライしてみたことがある。

議論がアイディアベースなので組み合わせによって良し悪しはあったが、基本的にはそれなりの議論ができる機会になった。

いわゆる経営分析のようなケーススタディではなく、どちらかというと新規ビジネス提案のような話題になる。

イノベーションのヒントにしたり、そういったワークショップのベースとするには良い本である。

今枝昌宏『ビジネスモデルの教科書』の紹介

前に読んだビジネスモデルの本『ビジネスモデルの教科書』を紹介する。

指標

  • テーマ:ビジネスモデル
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★☆☆

内容

序章 ビジネスモデル概論と本書の読み方

まず、ビジネスモデルの意義について説明している。

結局のところ、いくら現状分析を重ねても、最終的には戦略に落とし込む必要がある。

その際に役に立つのが、これまで先人たちがつくりあげてきた定石としての型、すなわちビジネスモデルなのだ。

後半は、ビジネスモデルを特徴づける枠組みを説明し、本章へ続く。

第1部 事業レベル編

ここからは厳選された31パターンのビジネスモデルの説明が始まる。

各モデルにつき、その説明や具体例、注意点等々を順に説明している。

第1章 顧客セグメント・顧客関係のビジネスモデル
第2章 提供価値のビジネスモデル
第3章 価格/収入構造のビジネスモデル
  • レーザーブレード
  • フリー
  • 敵の収益源の破壊
第4章 ビジネスシステムのビジネスモデル
第5章 事業レベルのビジネスモデルのまとめ

ここで小休止。事業レベルのモデルのまとめとなる。

具体的には、戦略の適用例という意味での各モデルが実際にどのように戦略を体現しているのかという軸でのまとめとなる。

第2部 コーポレートレベル編

ここからは、第1部がいわゆる事業戦略であるのに対し、全社戦略の話に移る。

第6章 コーポレートレベルのビジネスモデル集
  • 資源再配分の加速
  • 同業との統合
  • 周辺産業との統合
  • ブランド買収・再生
  • 川下への進出
  • 川上統合によるブラックボックス
  • 中立性・専属性のマネジメント
  • レバレッジドバイアウト

感想

ビジネスモデルのカタログという形容がぴったりだろう。

こういった勉強を始めた頃に読んで、とてもおもしろかった。

ビジネスに関する様々な話題がビジネスモデルという形でコンパクトにまとめられており、難しくなく飽きることなく読むことができる。

ただし、あくまで応用というかケースの羅列であることには注意されたい。

今になって思えば、経営の諸理論に基づいてはいるが対象も粒度もバラバラな話題が「ビジネスモデル」という便利な言葉でまとめられているとも言える。

逆にそういった理論をある程度知っている人ならば、Strategyに対するTactics、あるいはOperationの本として楽しめるのかもしれない。

いずれにしろ、身近な企業がどんなことを考えてビジネスをしているか、その具体例を多く知ることのできる本だ。

羽生章洋『はじめよう!』シリーズの紹介

前に読んだ、はじめよう!シリーズを紹介する。

はじめよう!  要件定義 ~ビギナーからベテランまで

はじめよう! 要件定義 ~ビギナーからベテランまで

 
はじめよう! プロセス設計 ~要件定義のその前に

はじめよう! プロセス設計 ~要件定義のその前に

 
はじめよう! システム設計 ~要件定義のその後に

はじめよう! システム設計 ~要件定義のその後に

 
  • 指標
  • 内容
    • はじめに
    • 『はじめよう! 要件定義』
    • 『はじめよう! プロセス設計』
    • 『はじめよう! システム設計』
  • 感想
  • 目次
    • 『はじめよう! 要件定義』
      • 第1部 要件定義って何だろう?
      • 第2部 要件定義の詳細
    • 『はじめよう! プロセス設計』
      • 第1部 プロセス設計って何だろう?
      • 第2部 プロセスの構成要素
      • 第2.5部 既存プロセスの見える化 〜第2部と第3部の間のお話〜
      • 第3部 プロセスの設計方法
      • まとめ 現代の魔法つかいとして
    • 『はじめよう! システム設計』
      • 第1部 システム設計って何だろう?
      • 第2部 システム設計のその前に
      • 第3部 システム設計の詳細
      • 第4部 実務とシステム設計
      • まとめ システム設計のその先に

指標

  • テーマ:IT、システム開発
  • 文章量:少ない
  • 内 容:本質的
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★☆

内容

はじめに

このシリーズは何を目的にシステムをつくるのか、そのためには何に気を付けて作業を進めていかなければならないのかを説明している。

具体的な言語、技術、アーキテクチャーについての説明は一切ない。

あくまでも要件定義や仕様調整、設計について書かれた本だ。

さて、はじめよう!シリーズは今のところ3部作だ。

システム開発における順番としては、

  1. プロセス設計
  2. 要件定義
  3. システム設計

となるが、今回は出版順に紹介する。

『はじめよう! 要件定義』

要件定義とは、その名の通り要件を定義すること、すなわち何をどうしてほしいのかを決めることだ。

これは、その実現を願う人と実際にそれを実現させる人が異なるため発生する作業だ。

そんな要件定義について、

  • 何を決めなければならないのか、そしてその理由
  • どう決めてどうまとめるか、その理由

を説明している。

この本のいいところは、

  • 具体的な方法論を省くことで要件定義という行為そのものに焦点を当て、
  • なぜそうするかを丁寧に説明している

ところだろう。

『はじめよう! プロセス設計』

プロセス設計は、BtoBであれば仕事の流れを、BtoCであればサービスの流れを設計することだ。

業務改善、BPR、グランドデザイン、オペレーション等いろいろあるが本質は同じだ。

通常は要件定義の上流に位置し、要件定義以降ではプロセス設計の中で必要と判断されたシステムが開発されていく。

この本も要件定義と同様にプロセス設計という行為そのものに焦点を当てている。

『はじめよう! システム設計』

最後にシステム設計では基本設計レベル、会社によってはそれ以前のレベルで設計について説明している。

もちろん要件定義、プロセス設計と同様に具体的な技術要素は出てこない。

あくまで客前に出て仕様調整を担当するような人に対する教科書に近い。

感想

1冊200ページ程であるが本質がよく詰まった本だ

特定の技術に対する本だったり、システムをどうつくるかという本は溢れている。
しかし、どんなシステムをつくるべきかという本はあまり見かけない。

確かにそれは当然で、なぜなら何をつくるかを決めるのはお客だからだ。

では要件定義や仕様調整、設計を担当する人は何を気にしておくべきなのか。

もちろんIT面でのもろもろは気にするべきだが、システムをつくるという行為自体において気にすべき点をこの本は説明してくれている

最近、客前に出るようになったエンジニア等には最適の本だろう。

もしくは全くの新人であれば、ぜひ技術書と合わせて読んでもらいたい本である。

※以下、目次

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ピーター M センゲ『学習する組織――システム思考で未来を創造する』の紹介

読み終わったので『学習する組織』を紹介する。

学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する

 

指標

  • テーマ:ビジネス、組織
  • 文章量:多め
  • 内 容:普通
  • 行 間:事例ベースで帰納
  • 推薦度:★★☆☆☆

内容

第I部 いかに私たち自身の行動が私たちの現実を生み出すか……そして私たちはいかにそれを変えられるか

まずは問題提起と概要説明から始まる。

第1章 「われに支点を与えよ。さらば片手で世界を動かさん」

世界はより繋がり、ビジネスはより複雑になっていく。
それに耐えうる組織とは、あらゆるレベルで学習をする組織だ。

そして、学習する組織に必要な要素技術が列挙される。

  • システム思考
  • 自己マスタリー
  • メンタル・モデル
  • 共有ビジョン
  • チーム学習
第2章 あなたの組織は学習障害を抱えていないか?

組織の学習を妨げる状況、いくつかのあるあるを説明している。

  • ①「私の仕事は○○だから」
  • ②「悪いのはあちら」
  • ③先制攻撃の幻想
  • ④出来事への執着
  • ⑤ゆでガエルの寓話
  • ⑥「経験から学ぶ」という幻想
  • ⑦経営陣の神話
第3章 システムの呪縛か、私たち自身の考え方の呪縛か?

いわゆるビールゲームの例で、システムとして考えることの重要性を説明している。

登場人物それぞれは、誰も他の人を貶めようと考えているわけではない。
それでもビールゲームというシステムのせいで問題が起きてしまう。

システムの構造まで切り込まない限り、そもそもの原因に対処することはできないのだ。

第II部 システム思考――「学習する組織」の要

ここから副題でもある Fifth Discipline=システム思考の話が始まる。

第4章 システム思考の法則

法則は11個ある。

  • ①今日の問題は昨日の「解決策」から生まれる
  • ②強く押せば押すほど、システムが強く押し返してくる
  • ③挙動は、悪くなる前に良くなる
  • ④安易な出口はたいてい元の場所への入り口に通じる
  • ⑤治療が病気よりも手に負えないこともある
  • 急がば回れ
  • ⑦原因と結果は、時間的にも空間的にも近くにあるわけではない
  • ⑧小さな変化が大きな結果を生み出す可能性がある――が、最もレバレッジの高いところは往々にして最もわかりにくい
  • ⑨ケーキを持っていることもできるし、食べることもできる――が、今すぐではない
  • ⑩1頭のゾウを半分に分けても、2頭の小さなゾウにはならない
  • ⑪誰も悪くはない
第5章 意識の変容

因果関係の環に目を向けなければならないと説明している。

ある行動が単に結果に繋がるというような線形な視点では世界を全体として捉えることはできない。

センゲさんは『環』と表現しているが、どちらかというと安定/不安定な極値近くの運動に似ていると感じた。

安定な極値では、極値からのズレにより元に戻ろうとする力が掛かる。
不安定な極値では、ズレがさらにズレを生む。

単なる比例ではなく、そういった構造が効いてくるのだ。

第6章 「自然」の型―出来事を制御する型を特定する

5章ででてきたようなシステムの構造を『型』と呼ぶ。
ここでは2つの型を紹介している。

第7章 自己限定的な成長か、自律的な成長か

限られた成長ではなく、さらなる成長を求めるならば、それを妨げるシステムの肝を叩かなければならない。

根底にある構造を捉え、見抜くことがシステム思考の強みだと説明している。

第III部 核となるディシプリン――「学習する組織」の構築

残り4つの説明だ。

第8章 自己マスタリー

自己マスタリーとは、端的に言うと自分に正直に生きることだ。

しかたなくという強制ではダメで、やりたいからやるという内発的な動機で人生や仕事に取り組んでいなければならない。

この理想像を個人ビジョンと呼ぶ。

個人ビジョンと現実の乖離を正直に認めると、それは創造的緊張を生み、成長へのエネルギー源となる。

ただし、あくまでも内発的な動機に基づくことから強制することはできない。
リーダにできることは、環境を整えたり模範たることだけだ。

第9章 メンタル・モデル

いわゆる思い込み、固定観念はやめようという話だ。

世界はこういうものだという頭の中のイメージに切り込むことで、気付きや振り返りが促されていく。

また、探求と主張のバランスが大切だと説明している。

確かに自らの主張を相手に伝え認めさせることは重要だが、同時に話の前提が正しいのかを追い求めることも重要だ。

そして、合意に至らずとも、そのプロセスがうまくいけば結果に繋がるのだ。

第10章 共有ビジョン

共有ビジョンとは、自分たちは何をしたいかという問いに対する答えだ。
個人ビジョンの全体バージョンと捉えていいと思う。

ただし、形式的なものではダメで、真に共有されていなければならない。
むしろ個人ビジョンの総合としてあるべきだと説明している。

第11章 チーム学習

チーム学習とは、チームの能力を揃えながら伸ばしていくプロセスだ。

そのためにディスカッションではなく、ダイアログという手法を提案している。

第IV部 実践からの振り返り

ここからは少し毛色が変わる。
システム思考を実践してみてどうだったという話が始まる。

第12章 基盤

学習する組織の考え方が、世の中や経営に深く入り込んだ道筋に焦点を当てている。

第13章 推進力

学習する組織の構築という困難な課題に取り組んだその動機に焦点を当てている。

第14章 戦略

学習する組織を構築するうえで、つくりあげるべき構造を説明している。

第15章 リーダーの新しい仕事

学習する組織の構築は困難であるがゆえに必要となるリーダーシップを説明している。

第16章 システム市民

地球規模で私たち自身がシステムであると自覚して生きることの大切さを説いている。

第17章 「学習する組織」の最前線

学習する組織、またはそれ以上の何かが生まれているというセンゲさんの期待感を説明している。

第V部 結び

第18章 分かたれることのない全体

まとめ。

感想

正直なところ非常にわかりにくい本だった。

説明に事例を出すのは構わないが、それから何がわかったかという結論の部分がほぼほぼ事例に出てくる人物のコメントで表現されている。

コメントベースだと様々なバイアスが入り込んでそうだし、いちいち社長が~代表が~と入るので権威主義にも見える

ただ、それでもなおシステム思考という考え方自体はおもしろかった

理論と実践で大きく異なるのは、その複雑性だろう。

何かを変えようと思うとき、構造を見極めること、表面的な箇所ではなく根本的な箇所を押さえることは重要だ。

事例ベース、コメントベースでの話が平気な人であれば読んでみてもいいと思う。

 

安藤昌也『UXデザインの教科書』の紹介

前に読んだUXデザインについての本『UXデザインの教科書』を紹介する。

UXデザインの教科書

UXデザインの教科書

 

指標

  • テーマ:UX、UXデザイン
  • 文章量:少なめ
  • 内 容:易しい
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★☆

内容

1 概要

概要の説明から始まるが、UX自体のというよりUXが生まれた背景や歴史がメインだ。

後半には具体例としてタイプの異なる3つの適用パターンが紹介されている。

1.1 UXデザインが求められる背景
1.2 ユーザーを重視したデザインの歴史
1.3 UXデザインが目指すもの

2 基礎知識

ここからが本番。
2章は基礎理論、3、4章と進むにつれて実践的な内容になっていく。

2.1 UXデザインの要素と関係性

UXデザインを構成する各要素、コンセプトを概観している。

登場人物としては、

  • ユーザ
  • 製品・サービス
  • ビジネス

の3つでありUXデザインは、

  • デザインの対象領域もろもろからくる情報
  • ビジネスとして捉えたときの情報
  • デザインについての諸理論

をインプットに、

  • 体験価値
  • 利用文脈
  • 製品・サービス
  • ビジネス

を考えねばならぬ、と説明している。

2.2 ユーザー体験

ユーザー体験といっても(主に)時系列的にいくつかの種類がある。

例えば、楽しみだなぁと体験する前に思うことも、それは予期的UXというものに含まれることになる。

そして、そんな一連の価値がどのようにユーザーの体験価値に繋がっていくかを説明している。

なぜそこまで体験価値に注目するかというと、それは本質的ニーズを捉えるためだ。

2.3 利用文脈

利用文脈とは、ユーザーと製品・サービスとの関わりであると説明している。

製品を使う状況や目的によって話は変わってくるぞ、という話。

2.4 ユーザビリティ、利用品質

ユーザビリティは、体験価値がユーザーの主体的な想いであるのに対し、製品自体の性質だと対比されている。

2.5 人間中心デザインプロセス

ここで話が少し変わり、では実際にUXデザインをどう進めていくかという内容になる。

UXデザインはHCDと同義ではないが、HCDプロセスの考え方を活用してデザインに取り組んでいく。

と、書かれているとおり厳密には異なるのかもしれないが、UXデザインに通じるものとして人間中心デザイン(HCD)のプロセスを説明している。

2.8や3、4章がより実践的な方法の紹介であるのに対し、ここでは少し抽象的で理論的な内容になっている。

2.6 認知工学、人間工学、感性工学

デザインに関連する諸分野の紹介、説明だ。

2.7 ガイドラインデザインパターン

ガイドライン、パターン、ルール、指針、言葉は何でもいいのだけど、デザインに関するそういったものを紹介してある。

2.8 UXデザイン

以上の要件を満たすように、実際にどうUXデザインを進めていくかを説明してある。

2.5よりは実践的で、3、4章の導入にあたる。

3 プロセス

2.8で提示されたUXデザインに関する実践的な一連のプロセスに対し、各プロセスの詳細を説明している。

3.1 利用文脈とユーザー体験の把握
3.2 ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索
3.3 アイデアの発想とコンセプトの作成
3.4 実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化
3.5 プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化
3.6 実装レベルの制作物によるユーザー体験の評価
3.7 体験価値の伝達と保持のための基盤の整備
3.8 プロセスの実践と簡易化

4 手法

3章は各プロセスの説明がメインで、その具体的なイメージとしていくつかの手法を登場させた。逆に、4章ではプロセスで使用される手法自体に焦点を置いている。

4.1 本章で解説する手法
4.2 「①利用文脈とユーザー体験の把握」の中心的な手法
4.3 「①利用文脈とユーザー体験の把握」の諸手法
4.4 「②ユーザー体験のモデル化と価値体験の探索」の中心的な手法
4.5 「②ユーザー体験のモデル化と価値体験の探索」の諸手法
4.6 「③アイデアの発想とコンセプトの作成」の中心的な手法
4.7 「④実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化」の中心的な手法
4.8 「④実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化」の諸手法
4.9 「⑤プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化」の諸手法
4.10 「⑤プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化」の諸手法
4.11 「⑥実装レベルの制作物によるユーザー体験の評価」の諸手法
4.12 「⑦体験価値の伝達と保持のための指針の作成」の文献紹介

感想

教科書と銘打っているだけあって、良くも悪くも教科書である

概要、理論、実践と順序だって幅広く、わかりやすくまとめられている。

余談になるが、非常に論文じみたこの構成、やはり安藤さんが研究者だからだろうか。

UXについて概観するにはとてもいい本だが、それ以上を求めるとより詳細な理解や実践が必要になるなと思えたのも否めない。

UXは、よくUIとセットにされがちだが、決してシステムの画面やら狭義のデザインやらに閉じた話ではない。

むしろ、経営戦略というトップダウンに対し、ユーザー層からのボトムアップとしてビジネスを形づくる双璧となりえるものだと感じた。

各コンセプトに関して、もう少しつっこんだ本も読んでみたい。

牧田幸裕『フレームワークを使いこなすための50問』の紹介

前に読んだビジネスフレームワークについての本『フレームワークを使いこなすための50問』を紹介する。

フレームワークを使いこなすための50問

フレームワークを使いこなすための50問

 

指標

  • テーマ:ビジネスフレームワーク、経営戦略
  • 文章量:少なめ
  • 内 容:易しい
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★☆☆

内容

この本は、題名からしフレームワークについて書かれている本だと思うだろう。
間違ってはいないがテーマとしては副題の方が正しい。

なぜ経営戦略はきのうしないのか?

これは最初の問い(Q1)にもなっている。

PART1 なぜ経営戦略は機能しないのか?

1部と2部はそれぞれ全社戦略、事業戦略に関わるフレームワークに対し、本当にその目的を解っているのか?と切り込んでいる。

Q2については、フレームワークを持ち出す人間は100回くらい読んでほしい内容だ。

  • Q1 なぜ経営戦略は機能しないのか?
  • Q2 なぜフレームワークを正しく使えないのか?
  • Q3 経営戦略はどういう構造にわけられ、どういうプロセスを経て策定されるのか?
  • Q4 全社戦略ではどのようなフレームワークを使って何を策定するのか?
  • Q5 BCG-PPMは、なぜ全社戦略の策定のみで使われるのか?
  • Q6 BCG-PPMの縦軸と横軸は何を意味しているのか?
  • Q7 BCG-PPMのそれぞれの象限の事業の特徴は何か?
  • Q8 BCG-PPMの間違った使い方、また、使ってはいけない場合とはどういうものか?
  • Q9 全社戦略や事業戦略は必ず策定しなければならないのか?
  • Q10 組織は戦略に従う、戦略は組織に従う、どちらが正しいのだろうか?

PART2 なぜ現状分析は機能しないのか?

2部は数々の有名なフレームワークが登場する。

特に印象的だったのがQ14。
フレームワークの目的を考えれば3C(SWOT)の各要素には順序があるという話。

  • Q11 情報収集と現状分析の違いは何か?
  • Q12 なぜ多くの日本企業の現状分析は「分析」にならないのか?
  • Q13 現状分析のフレームワークにはどのようなものがあり、一番大きな枠組みは何か?
  • Q14 3つのCをどういう順番で分析し、何を明らかにすればよいのか?
  • Q15 SWOT分析では、それぞれの要素をどういう順番で分析したらよいのか?
  • Q16 市場分析を行う目的は何か?
  • Q17 マクロ環境分析で明らかにしたいことは何で、それぞれどのタイミングで必要となるのか?
  • Q18 5Fs分析で明らかにしたいことは何で、どのタイミングで必要となるのか?
  • Q19 顧客分析で明らかにしたいことは何で、どのタイミングで必要となるのか?
  • Q20 バリューチェーン分析で明らかにしたいことは何で、どのタイミングで必要となるのか?

PART3 なぜ戦略策定は機能しないのか?

2部は事業戦略のための現状分析を扱っていたが、3部では実際に戦略をどう策定するかということに迫る。

具体的には、ポーターの基本戦略とコトラーの競争上の4つの地位の説明となる。

  • Q22 なぜ戦略策定は機能しないのか?
  • Q23 戦略策定のパターンはどれだけ存在するのか?
  • Q24 コストリーダーシップを採るべき企業はどういう企業か?
  • Q25 コストリーダーシップと低価格戦略は同じなのか?
  • Q26 差別化や集中を採るべき企業はどういう企業か?
  • Q27 差別化も集中も特定市場をターゲットとしているように見える。その違いは何なのか?
  • Q28 なぜ差別化は機能しないのか?
  • Q29 コストリーダーシップと差別化は両立できないのか?
  • Q30 コトラーのリーダー企業とポーターのコストリーダー企業は同じか?
  • Q31 業界2位企業はチャレンジャーなのか?
  • Q32 チャレンジャーと差別化は同じなのか?
  • Q33 フォロワーとはどういう企業で、フォロワーで成功するにはどうしたらよいのか?
  • Q34 ニッチャーと集中を採用する企業は同じなのか?
  • Q35 戦略を機能させるためにポーターやコトラーをどう活かせばよいのか?

PART4 なぜ中期経営計画は計画どおりに実行されないのか?

4部は、決めたことをどう実行していくかという話。
実行するための計画だったり組織だったり。

  • Q36 中期経営計画には、どのような構成要素(コンテンツ)が必要となるのか?
  • Q37 中期経営計画にはなぜ利益拡大と成長の要素を入れなければならないのか?
  • Q38 中期経営計画が「えいや!」と「気合」で作られてしまうのはなぜなのか?
  • Q39 中期経営計画の目標と実現施策はなぜ乖離しがちなのか?
  • Q40 経営企画部が出す施策に、どうして現場はヤル気をなくすのか?
  • Q41 あきらめムードを蔓延させないよう、経営陣やマネージャーはどう動くべきか?
  • Q42 WBSを策定する際のキモは何か?
  • Q43 WBSの実行管理、効果検証はどうのように行ったらよいのか?
  • Q44 実行施策を現場で継続させるにはどうしたらよいのか?
  • Q45 実行結果を経営陣やマネジャーはどう評価し、どう次のアクションに結び付けたらよいのか?

PART5 経営連略を機能させるための必須スキル

5部は、いわゆるロジカルシンキングというか心構えというか。

  • Q46 戦略立案担当者が戦略を機能させるために必要なスキルは何か?
  • Q47 事業成功のキモを発見するには、どのようなトレーニングを行えばよいのか?
  • Q48 仮説思考力を強化するには、どのようなトレーニングを行えばよいのか?
  • Q49 「策定」された戦略を「現場」に落とし込んで実行してもらうためにはどうしたらよいのか?
  • Q50 戦略立案担当者はどうすれば戦略を機能させ続けられるのか?

感想

ビジネスに興味を持ち始めた頃に読んで目から鱗だった。

それまでもフレームワークについては知っているつもりだったが、読み終わって知っているつもりであったことを強く思い知らされた

フレームワークそれぞれに目的や立ち位置があり、使い方があることを知った。

ただし、それでもなお(今になって思えば)この本だけを読んで、知ったつもりになってはダメだ

フレームワークとは経営の諸理論に基づき情報を整理するためにつくられた道具だ。
その諸理論を理解してこそ意味があり力を発揮する。

しかし、入門者、例えば就活でケース面接を受ける学生がこの本を読むことには意味があるだろう。

内容自体はおもしろいし、さらっと読めるので、入門者の中で頭一つ抜けるには役立つ本だ。