ワタシシゴトチョットデキル

ひとまず読んだ本の紹介を続けていく

MBAや中小企業診断士を遠回りで学ぶための教科書

社会人になった以上、ビジネスに興味を持ち、勉強してみたいと思うのはあたりまえだ。

そして、MBA中小企業診断士の存在を知る。

しかし、MBAはお金も時間も掛かる。少し穿った見方をすれば、知識やスキルをお金で買う行為だ。

また、中小企業診断士については教科書を見たことがあるだろうか。受験のために羅列された知識。論理展開もクソもない。

かつて学生だった時にお世話になった先生の口癖がある。

焦ってやっても、何の意味もないんですよ。

勉強するなら、できるだけ何故そうなのかを突き詰めたいと思っている。

そんな考えのもと、できるだけ原著に近いものに当たってきた。

 

この記事では、少し遠回りでもいいからじっくり勉強してみたいという人に向けて、自分が読んだ/読みたいと思っている本を紹介する。

なお、テーマについては中小企業診断士の分野分けを採用した。MBAはカリキュラムに依存して揺れがあるためだ。

各テーマごとの教科書

企業経営理論

社会人がビジネスの勉強を始めて最初に飛びつき最後まで憧れる分野である。

経営戦略論

真っ先に挙げたくなるのはポーターの、

だろう。経営戦略と言えばポーター、ポーターと言えば経営戦略だ。

しかし、2冊合わせて1000ページを超える大作だ。自分も読んだが、ひと苦労だった。

そういうわけで、実際に薦めるのはバーニーにしようと思う。

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

 

読んでみると、実はポーターの競争の戦略の説明にもかなりのページを割いている。曰く、ポーターによる外部環境の分析とバーニーによる内部環境の分析は相互に補完するのだ。

よって、もちろんポーターを読める人は是非とも読んでほしいが、バーニーの企業戦略論を読めばポーター含めバランス良く学ぶことができる。

組織論

組織論の本と言えば、これ一択だろう。読んでみたが、教科書としてとてもバランスの良い本だ。

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

 
マーケティング

マーケティングについての本も一択だろう。

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

 

だが分厚い。とにもかくにも分厚い。分厚いので持ち運べない。持ち運べないので隙間時間に読むことができない。

自分も読み始めて幾度となく挫折中である。

しかし、これを読んではじめてスタートラインに立てるのだろう。

財務・会計

これをわかっていないとマジで話にならないお金の話。

会計

まずはルールを覚える的なところもあるので、日商簿記2級を取ればよい。

財務

財務、すなわちファイナンスについては一概に言えないが、今はこれを読んでいる。

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

  • 作者: リチャード・A・ブリーリー,スチュワート・C・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井眞理子,國枝繁樹
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

まだ全て読み切ってはいないが、内容はとても丁寧でわかりやすい。

マッキンゼー企業価値評価も気になっているが、どうなんだろうか?

運営管理

オペレーションなんて呼ばれたりする。泥臭いけど大事な現場の話。

生産管理

生産管理については、これ一択だろう。読んでみたが、良い教科書だ。 

生産マネジメント入門〈1〉生産システム編 (マネジメント・テキスト)
 
店舗・販売管理

内容としてはマーチャンダイジングロジスティクスだが、まだ良さげな本を見つけられていない。

経済学

後回しにしている。まだ良さげな本を見つけられていない。

IT

この時代、ビジネスとは切っても切り離せない切り離してはいけない情報技術の話。

ITについては山ほどの本があるだろうが、特にこれから勉強を始める人や、今さら勉強してもと思っているおじさん世代に是非ともこのシリーズを薦めたい。

65万部のロングセラー 入門書のスタンダード「なぜ」シリーズ

プログラムはなぜ動くのか 第2版 知っておきたいプログラムの基礎知識

プログラムはなぜ動くのか 第2版 知っておきたいプログラムの基礎知識

 

「10年後も通用する基本を身につけよう」というコンセプトのもと、コンピューターの原理を説明している。

法務

捕まっては元も子もない。何をするにも付きまとう法律の話。

良さげな本を探し中である。というのも、いわゆる六法の中からどの分野がビジネスに関係してくるのか洗い出せていないからだ。

ただ、何となく会社法と知的財産に関するものが主軸になりそうだ。

まとめ

冒頭の通り、焦りは禁物だ。しかし、頭ではわかっていても心では焦ってしまう。本当に今のままの進め方でいいのだろうか。

実は今回、紹介したのはコアとなる分野だけだ。

例えば、破壊的イノベーションなど不確実性を前提とした戦略論や、リーンスタートアップなど起業の話には触れることができなかった。

また、デザイン思考、UX、CXなど新しい分野がどんどん生まれていく。

そして、本好きにはあるあるだろうが本を読めば読むほど、読みたい本が増えていく。

無限に広がる世界の中でどう取捨選択していくか、それは今も模索中である。

まずは焦ることなく、しかし確実に歩を進めていくことしかないのだろう。

 

藤本隆宏『生産マネジメント入門〈2〉生産資源・技術管理編』の紹介

読み終わったので『生産マネジメント入門〈2〉生産資源・技術管理編』を紹介する。

1巻『生産マネジメント入門〈1〉生産システム編』についてはこちら。 

take2biz.hatenablog.jp

指標

  • テーマ:技術・生産管理/オペレーション
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★☆☆

内容

第Ⅰ巻では、QCDなど生産システムのアウトプット面について扱っていた。

第Ⅱ巻では、そのインプット面として経営資源の管理や製品開発について扱っている。

第3部 経営資源の管理・改善

本書の前半は、経営資源について説明している。

第10章 人事・労務管理

経営資源の1つめとして、まずは人の話だ。

大きく分けて3つの話題、

  • 労使関係
  • 人材開発と雇用管理
  • 作業設計

について説明している。

前者2つは、一般的な組織論で語られるような話が多かった。

しかし、作業設計については、製造業に特有のことではないだろうか。少し言葉は悪いが、人も歯車の1つとしてうまく動くように配置し、指示を出し、メンテナンスをしていかなければならないのだ。

第11章 設備管理と生産技術

次は機械や工具など、設備についてだ。

基本的には前章の人事・労務管理と同じ流れだ。どんな設備をどのように手に入れ、どう管理していくのか。

しかし、人は採用後どんどん育っていくのに対し、設備は購入時点でできることが決まっている。

これは、人事・労務管理と比べて「どんな設備」に対する比重が大きいことを意味する。

そして、どんな設備を使うかという話は、工程をどこまで自動化するのかという話に繋がる。

本書では自動化(automation)を、

「人間の活動や作業を機械や装置で置き換えて、さらにそれを人間の操縦なしで動けるようにすること」

と定義している。

自動化の種類の代表例として、

  • Numerical Control
  • Flexible Manufacturing System
  • Computer Integrated Manufacturing

等を紹介している。

第12章 購買管理とサプライヤー・システム

最後に購買管理の話だ。

材料などを購入する際に、

  • 集中部署でやるのか分散させるのか
  • 内製するのか外製するのか(内外製区分の決定)
  • どちらが設計をするのか(承認図方式/貸与図方式)

等について説明している。

第4部 製品開発の管理と能力構築

後半は、製品開発についてだ。

第13章 製品開発の基礎:プロセス・組織・パフォーマンス

まずイントロダクションとして、プロセス、組織、パフォーマンスについて説明している。

例えば製品開発のプロセスには、

  • コンセプト作成
  • 製品基本計画
  • 製品エンジニアリング
  • 工程エンジニアリング

がある。製品を考えて終わりでなく、どうつくるか(工程エンジニアリング)まで入っているところが製造業らしい。

ここから3章を費やして開発パフォーマンスについての説明が始まる。

第14章 開発期間とその短縮

まず、開発期間についてだ。

前半は、クリティカルパスなど開発期間の捉え方を説明している。

後半は開発期間を短縮する方法として、

  • 個々の活動やタスクの期間短縮(圧縮・モード切替)
  • 複数のタスクの並行化(オーバーラップ・分割)
  • 繰り返し回数の削減(反復削減・フロントローディング)

について説明している。

第15章 開発コスト・開発生産性とその向上

次に開発コストについてだが、ここまでくると既存の話でカバーできてしまうらしい。本章は、わずか15ページで終わる。

第16章 総合商品力と開発の組織・プロセス

最後に、どんな組織でどう製品開発を行い、どう総合商品力に繋げていくかだ。

ただし、本書はマーケティングイノベーションの本ではない。よって、シュンペーターの名やテクノロジー・プッシュ/マーケット・プルの話は出てくるが話は軽い。

どちらかといえば、組織的にどう製品開発を進めていくか、すなわち製品開発プロジェクトのマネジメントについてがメインだ。

例えば、重量級プロダクトマネージャー組織というものが出てくる。やはり、製品を創り出す以上、合議的よりも誰かしらのセンスを軸とした方がいいのだろうか。

第17章 研究開発戦略

少し話が変わり、研究開発(R&D)について説明している。

第17章 補論 ◎技術系の人事管理

省略

第18章 まとめ:戦略的もの造り経営を目指して

最後にトヨタを例にして簡単なまとめをしている。

結局、トヨタ(日本の製造業)の強みは、トップダウンの管理ではなくボトムアップの改善の積み重ねだ的な結論で終わる。

まとめ

Ⅰ巻と比べて意外とおもしろくなかった。

というのも本書が対象とする製品開発とは、いかにうまく組織的に開発を進めていくかであって、いかに魅力的な製品を開発するかではないからだ

本書で一貫して取り扱ってきた自動車業界では、真新しい製品で他社を出し抜くというより、成熟した業界として効率よく持続的イノベーションを起こせるかが勝負の鍵なのだろう。

もちろんそれはわかるが、あまり興味が湧かなかった。

やはりマーケティングイノベーションの方がおもしろそうである。

1点フォローするならば、教科書としては優秀だ。良くも悪くも日本の製造業を知っておくという意味で読んでおいて損はないだろう。

藤本隆宏『生産マネジメント入門〈1〉生産システム編』の紹介

読み終わったので『生産マネジメント入門〈1〉生産システム編』を紹介する。

生産マネジメント入門〈1〉生産システム編 (マネジメント・テキスト)
 

指標

  • テーマ:技術・生産管理/オペレーション
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★★(満点)

内容

本書の位置づけは、

「文系・事務系の人にも理系・技術系の人にも読んでもらいたい技術管理・生産管理の教科書」

としている。

第Ⅰ巻では、生産マネジメントのイントロダクション+生産システムのアウトプット面としての生産工程を扱っている。

第Ⅱ巻では、生産システムのインプット面として経営資源の管理や製品開発を扱っている。

第1部 生産システムの基礎

第1章 はじめに:競争力とシステムの視点

まず、本書の特徴として、

  1. 開発から生産までをトータルシステムとして考える
  2. 広義の情報の側面に着目する
  3. 競争力に焦点を当てる

ということをあげている。

広義の情報の側面とは、ITで扱う電子情報だけではなく、例えば自動車ボディのプレス工程を「人が持つ知識・熟練、紙上の設計、プレス機の仕様」から「鋼の塊」への情報の転写と考えるということだ。

このように抽象的に考えることで、トータルシステムとして考えることができるというわけだ。

第2章 開発と生産のプロセス分析

とにもかくにも製造企業を分析する際にはプロセス分析が必要になる。

さらに、第1章の方針に従い広義の情報のプロセスとして捉えると製品設計と工程設計は対応させることができると説明している。

簡単に言うと、設計上ネジを3つ使うことになっているのであれば、当然ネジを止める工程が3つあるということだ。

第3章 製品と工程の歴史分析:「大量生産方式」とは何であったか

製品・工程ライフサイクルの考え方を軸に、

を説明している。歴史の話だ。

第2部 競争力ファクターの管理

ここからは競争力について具体的な話に入る。

第4章 競争力とその構成要素

競争力には、

  • 情報すなわち製品を受け取る側で把握できる表層の競争力
  • 情報を発信すなわち開発・生産を行う企業側で把握できる深層の競争力

があり、本書では後者を扱う。

前者は、いわゆる4P(Product, Price, Promotion, Place)で構成されるものだ。

そして後者はQCDF、

  • Quality
  • Cost
  • Delivery
  • Flexibility

で構成される。

第5章 コスト・生産性の管理と改善

まず、QCDFのC、すなわちコストについてだ。

現状を把握するための原価管理の諸手法の紹介から始まり、その上で生産性が高いのか低いのか判断を下すための生産性の定義について説明している。

また、生産性のダイナミックな変化という意味で学習効果にも触れる。

後半は、生産性を高めていくための活動について、IEJIT方式についてだ。

第6章 納期と工程管理

次にD、納期だ。

まず、生産には大きく分けて見込み生産と受注生産があることを説明している。

その上で、前半は生産計画や生産統制についてだ。

後半は、生産期間をどう短縮していくかという話になる。これはすなわち、価値を吸収していない時間=在庫の管理を意味する。

第7章 品質とその管理・改善

そしてQ、品質の話に入る。

本章では、開発品質ではなく製造品質に注目する。

前半は、統計的品質管理の話だ。これは工程内不良率を所与としていかに検査を最適化するかという話で、例えば抜き取り検査とすべきか全数検査とすべきか等だ。

後半は、そもそもの工程内不良率そのものを低減していく活動として品質作り込みやTQC(Tortal Quality Control)について説明している。

第8章 フレキシビリティ

最後はF、フレキシビリティすなわち柔軟性だ。

今さらだがよく聞くのは、Fがない「QCD」ではないだろうか。

QCDは、それ自体が特定のレベルに達することで顧客の満足に繋がる。

だが、フレキシビリティとは、そういったQCDのレベルが環境の変化や多様性に対し影響を受けないという能力であり、その意味で顧客満足への貢献は間接的だ。

しかし、競争力へ貢献していることには変わりない。少し質は異なるがQCDの列に加える。

フレキシビリティは大きく分けて、

  • 部品のフレキシビリティ
  • 工程のフレキシビリティ

がある。

第9章 生産戦略

第1巻のまとめだ。

前半は、経営戦略との絡みについて説明している。例えば、生産戦略は、

  • 企業戦略
  • 事業戦略
  • 機能戦略

のうち、もちろん機能戦略に分類される。

後半は、これまでのQCDF個々の話を踏まえたうえで、全体として生産能力をどの程度どのように用意すべきかについて説明している。

まとめ

意外とおもしろかった。

経営戦略本は王道としてのおもしろさはあるが、いろいろな意味で現実味がない。

しかし、本書は現場のマネジメント本ということで、読んでいる最中に身近な景色が浮かびがちだった。

もちろん製造業に身を置くわけではないので直接役には立たないが、もう少し抽象的な意味で何かしらのプロセスの扱い方としては役に立ちそうな話ばかりだった。

むしろ部外者が製造業に関わるマネジメントを知るには分量、テーマ共にバランスの良い教科書であろう

2巻が楽しみであると共に、小売・サービス業に関してもこういった話を知りたくなった。

クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』の紹介

読み終わったので『イノベーションのジレンマ』を紹介する。

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

 

指標

  • テーマ:イノベーション
  • 文章量:少なめ
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★★(満点)

内容

第一部 優良企業が失敗する理由

本書は、

「積極的、革新的で顧客の意見に敏感な組織と評価された企業が、戦略的にきわめて重要な技術革新を無視したり、参入が遅れたのはなぜか」

という疑問から始まる。

第一章 なぜ優良企業が失敗するのか-ハードディスク業界に見るその理由-

まず、ディスク・ドライブ業界の歴史を通して優良企業が失敗するメカニズム、すなわち本書のテーマでもある破壊的イノベーションとは何かを説明している。

ちなみにここでいう破壊的イノベーションとは、いわゆる最先端技術の開発だったり、そういった抜本的イノベーションのことではない。これは意外だ。

むしろ破壊的イノベーションは技術的には簡単なことが多いらしい。

カニズムとして優良企業が頑張れば頑張るほど失敗してしまうのだ。だからジレンマなのだろう。

第二章 バリュー・ネットワークとイノベーションへの刺激

次に、優良企業がなぜそういったメカニズムにハマってしまうのかという話だ。

既存の研究には、組織やマネジメント、技術的な難しさに焦点を当てているものが多いが、そうではない。

バリュー・ネットワークという概念を導入することで異なるアプローチができる。

第三章 掘削機業界における破壊的イノベーション

以上を踏まえ、今度は掘削機業界の事例を説明している。

第四章 登れるが、降りられない

優良企業が破壊的イノベーションにハマった場合、なぜ取り返せないのか。

そこにはハイエンドには行けるがローエンドには行けないという異方性があるのだ。

第二部 破壊的イノベーションへの対応

第二部では、破壊的イノベーションに遭遇したらどう対応していけばよいかという話が始まる。残念ながら、破壊的イノベーションの起こし方ではない。

第五章 破壊的技術それを求める顧客を持つ組織に任せる

破壊的イノベーションにハマる理由に、当初は既存顧客が破壊的技術に価値を見出さず、よって企業もまじめに取り組まないというメカニズムがある。

破壊的技術が生まれたとき、それはそれを欲しがる人に売り、そのための組織がマネジメントしていくべきなのだ。

第六章 組織の規模を市場の規模に合わせる

当たり前だが生まれたての破壊的技術は未熟であり市場も小さい。

これを主流の組織に放り込んでしまっては、その短期的な目標に晒され弱小組織として揉みくちゃにされてしまう。

主流とは少し距離を置き、適切な規模で進めていくべきだ。

第七章 新しい成長市場を見出す

既存市場に対しては既存の顧客を満足させ売り上げを伸ばす計画を立てればよい。

しかし、新しい市場に対しては不確実性が高く、そもそも知り得ないことが多い。

よって、破壊的技術による新しい市場に対しては、学習し発見するための計画を立てるべきなのだ。

第八章 組織のできること、できないことを評価する方法

組織にできること、できないことは、

  • 資源
  • プロセス
  • 価値基準

の3つによって決まる。

既存の組織が新しい市場で必要となる能力を持っているかは保証できない。

もし、既存の組織が能力不足ならば、破壊的技術に対する能力を持った組織をどうにかしてつくりあげなければならない。

第九章 供給される性能、市場の需要、製品のライフサイクル

製品のライフサイクルを表す図としてS字のカーブが使われる。

しかし、破壊的イノベーションを知った今、S字カーブだけでは不十分である。

そこには性能の供給過剰というメカニズムが存在するからだ。

第十章 破壊的イノベーションのマネジメント-事例研究-

最後に以上を総合して、電気自動車を破壊的技術と見立てて事例研究を行う。

第十一章 イノベーションのジレンマ-まとめ-

本書のまとめだ。

まとめ

とても、おもしろかった。

もっとユーザーに合わせて、もっと高機能に、、、と追い求めれば追い求めるほどドツボにハマっていくジレンマを高々300ページで説明している

ただし、破壊的イノベーションのジレンマという概念が簡単なわけではない。

要素要素の分析を総合しても出てくるタイプではない、もっと大域的な概念だ。
そして、メカニズムという言葉を何度も使用したが、そういった動的な側面もある。

既存のビジネスの質を上げていくだけではなく、新しい挑戦が必要な理由はここにあるのかもしれない。

誰もが自然に陥ってしまうジレンマだからこそ、一読の価値がある本だ

ジェイ・B・バーニー『企業戦略論【上】』の紹介

読み終わったので『企業戦略論【上】』を紹介する。

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続

 

指標

  • テーマ:経営戦略
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★☆

内容

第1章 戦略とは何か

まず、問題提起として以下3つの企業の事例から始まる。

これらの企業を成功に導いた戦略とはなんだろうか。

1.1 戦略という概念の定義

本書では戦略を、

いかに競争に成功するか、ということに関して一企業が持つ理論

と定義している。

企業が取り得る競争上のポジションとしては、

  • 競争優位
  • 競争均衡
  • 競争劣位

の3つがある。

すなわち、戦略とは競争優位を目指すためのセオリーと言えるのだ。

1.2 戦略と企業ミッション

次に、従来の戦略へのアプローチの説明に入る。

競争セオリーが、その企業のミッションによるものだという説がある。

しかしこれには、

  • 内向きであり、外部環境が考慮されていない
  • 現場のマネージャーには役に立たない

という限界がある。

1.3 創発戦略

一方で創発戦略というものもある。

つまりは場当たり的な考えのことで、時間の経過と共に何となく定まってくるタイプの戦略のことだ。

1.4 戦略と企業経営の環境条件

以上を踏まえて、本書の軸となるフレームワークが導入される。

誰もが知っているであろう、SWOTだ。

曰く、競争セオリーが意図的なのか創発的なのかに限らず、成功したものには以下4つが考慮されているというのだ。

① 企業の内部条件としての強み(Strength)
② 企業の内部条件としての弱み(Weekness)
③ 企業の外部条件としての競争市場における機会(Opportunity)
④ 企業の外部条件としての競争市場における脅威(Threat)

第2章 パフォーマンスとは何か

2.1 戦略の定義とパフォーマンスとの関係

ところで、企業は競争優位を構築してどうしたいのだろうか。

それは競争均衡や劣位にある企業より、よいパフォーマンスをあげたいのだ。

2.2 パフォーマンス概念の定義

パフォーマンスは絶対値でなく、期待値と実際値の関係によって評価される

高品質の材料で最高のアウトプットを出すよりも、低品質の材料でそれなりのアウトプットを出す方がパフォーマンスとしては評価されるのだ。

期待値と実際値のプラスの差を経済的利益、または経済レントという。

2.3 企業パフォーマンスの測定

では実際、企業のパフォーマンスをどう測るかというと、

による手法を説明している。

第3章 脅威の分析

ここからは、SWOTに沿って話が進む。

3.1 SCPモデル

その前に、少しだけSWOTに至った経緯の話が挟まる。

1930年代、経営学者によって業界構造、企業行動、パフォーマンスの頭文字を取ったSCPモデルというフレームワークが生み出された。

これは、この3つの要素を分析することで、

  • 完全競争
  • 独占的競争
  • 寡占
  • 独占

を特徴づけ、社会的厚生のため各業界を完全競争に持ち込むためのものであった。

しかし、経営者はこれを逆に利用したのである。

 

さてさて、ここからはポーターによる競争の戦略の説明だ。

3.2 脅威を分析する5つの競争要因モデル
3.3 5つの競争要因と業界平均のパフォーマンス
3.4 5つの競争要因モデルの適用事例
3.5 国際環境における脅威

第4章 機会の分析

4.1 業界構造と機会

本節では特定の業界に対し、どのような機会が存在するかを説明している。

前半5つは、ポーターの言及するところだ。

  • 市場分散型業界
  • 新興業界
  • 成熟業界
  • 衰退業界
  • 国際業界

さらに新しく3つの業界について説明している。

  • ネットワーク型業界

いわゆるネットワーク効果が効くような業界の話だ。

  • 超競争業界

ソフトウェアやバイオテクノロジーなど技術革新・創造が目まぐるしい業界の話だ。

  • コアなし業界

ここで言うコアなしとは安定点が存在しないという意味で、あちらが立てばこちらが立たずといった構造を持つ業界の話だ。

 

引き続き、ポーターによる分析の話だ。

4.2 戦略グループによる脅威と機会の分析
4.3 脅威と機会の分析におけるSCPモデルの限界

第5章 企業の強みと弱み―リソース・ベースト・ビュー

ここからが本書の意義だろう。

5.1 企業の強み・弱みに関するこれまでの研究

大きく3つ紹介している。

  • 経営者もしくは組織体制自体が強み・弱みを決めるという伝統的研究
  • 供給が非弾力的、すなわち欲しくても手に入らない経営資源が経済レントを生み出すというリカード経済学
  • 企業を多くの個人、行動、そして生産資源の束として理解すべし、とするペンローズの理論
5.2 組織の強みと弱みの分析

従来のアプローチを受け、ここでリソース・ベースト・ビューという考え方を導入する。

ポイントは2つあり、

ということだ。

実際どのような経営資源やケイパビリティが競争優位を生じさせるかは、バリューチェーン分析により特定できる。

さらに、VRIOフレームワークというものを導入する。

これは4つの問いを立てることで、実際の議論を進め易くするものだ。

  • 経済価値(value)に関する問い
    企業が保有する経営資源やケイパビリティは、脅威や機会に対し有効なものであるか?
  • 希少性(rarity)に関する問い
    同様の経営資源やケイパビリティについて、現状どのくらいの競合企業が保有しているか?
  • 模倣困難性(inimitability)に関する問い
    そういった経営資源やケイパビリティを保有しない企業が、それらを獲得するにはどのくらいの不利を被らねばならないか?
  • 組織(organization)に関する問い
    経営資源やケイパビリティをフルに活用できる組織体制が整っているか?
5.3 VRIOフレームワークの適用事例

デルや、ペプシコカ・コーラの事例を紹介している。

5.4 リソース・ベースト・ビューの意義

まずは、RBVやVRIOは企業内部の状況を分析するという意味で、5Forcesなど外部環境を分析するフレームワークと補完的であると説明している。

しかし、それだけではない。

分析に留まらず、マネージャーが、では実際どう競争優位を獲得するかと考える際にも役立つのだ。

5.5 VRIOフレームワークの限界

最後にVRIOフレームワークの限界についても説明している。

  • シュンペーター的変革のような変化が激しい場合は想定していない
  • いくら分析しようが本質的に詰んでいる時もある
  • 得てして競合企業の内部情報は得にくい

まとめ

もっと早く出会いたかった。それが全てである。

読む前は、バーニーやRBVはポーターのポジショニング理論に並び立つもの、合わせて経営戦略に対するアプローチの双璧を成すと思っていた。

しかし、蓋を開けてみれば8割はポーターの話ばかり。競争の戦略も読んだし競争優位の戦略も読んだ身としては退屈であった。

これは別に本書を否定しているわけではない。逆にポーターを読んでいない人に取っては、両アプローチをバランスよく学べる非常に良い教科書であると思う。

だが、いかんせんポーターを読んでしまった以上、2対8くらいでRBVをもっと詳しく説明してほしかった

そもそもポーターの理論を補完するような形だとは予想外だった。

繰り返しにはなるがポーターを読んでしまった人は5章だけ読めばいい気もする。

ポーターを読んだことない人は通して読むといいだろう。

「テーブル設計」とは何を指すのか

テーブル設計と言われて思い浮かべるものは人によって違うのではないだろうか。

自分自身、テーブル設計とは曖昧な言葉だと思っている。
そこでテーブル設計ではないものも含めて関連テーマをまとめてみる。

目標は初学者の人に簡単な地図を与えることだ。

テーブル設計ではないと思うもの

関係はしているが、テーブル設計ではないでしょというテーマ。

SQL

いやいや知ってるわ、という人がほとんどだろうが念のため触れておく。

SQLとは周知の通り、RDBを扱うための言語だ。

実は、SQLというか、RDBというやつは奥が深い。

例えば『達人に学ぶSQL徹底指南書』を読むとその片鱗が味わえる。

同書では、演算という言葉が出てくるように、上から下へ順に処理していくような言語とは一味違うと説明している。

理系出身の身としては、代数の匂いを感じる。

今のところ手は出していないがリレーショナル理論というものが根底にあるらしい。
いずれ挑戦してみたい。

DBアーキテクチャ

データベースをOS上のプログラムとして捉えたときの話だ。
これもアーキテクチャ設計とは言えど、テーブル設計ではないだろう。

ただし、パフォーマンスを意識したり冗長化リカバリを考える際は必要になる知識だ。

ここまで入り込んでしまうと、製品ごとの話になってしまうのは致し方ない。

テーブル設計だと思うもの

正規化

テーブル設計の勉強となると、8割はこの話題じゃなかろうか。

正規化とは、データベースとしてこうあるべきというルールに基づき、テーブル設計を修正していくことだ。

例えば、とりあえずテーブルをつくったものの、そこから欲しい情報が欲しいように取り出せなければ意味がない。そこで検索しやすいようにうまくキーを振ったり、テーブルを分割したりしていく。

この話題については教科書も山ほどあるので、詳細はどれかしらを読んでほしい。

達人に学ぶDB設計 徹底指南書 初級者で終わりたくないあなたへ

達人に学ぶDB設計 徹底指南書 初級者で終わりたくないあなたへ

 

ちなみに何でもかんでも正規化すればいいというわけではないらしい。

例えば、『BIシステム構築実践入門』によるとBIシステム、すなわちデータ分析系のシステムではあえて正規化をしないらしい。
そちらの方が分析に用いやすいからだ。

データモデリング

これまでの話を振り返ると、アーキテクチャや正規化はシステム的な制約やべき論の話だった。

しかし、結局その制約やべき論とどう付き合っていくかはシステムで何がしたいかに依存する。

これは、BIシステムのように何かを優先するがために何かを犠牲するという話だけではない。

そもそも、システム的な制約や正規化等のルールに則っても、

  • どんなテーブルをつくるか
  • どんなキーにするか
  • どんなリレーションを張るか

が一意に定まるわけではない。

これらにひとつの答えを与えるのがデータモデリングだろう。

教科書としては以前、紹介した『実践的データモデリング入門』がある。

take2biz.hatenablog.jp

まとめ

テーブルの設計と言われると、どうしても人それぞれになってしまう

特に正規化の話を浮かべる人は多いだろうし、ググって出てくるのも正規化の話ばかりだ。

しかし、関連分野を含めると意外と裾野の広いテーマだろう。

そして是非ともデータモデリングの範疇まで意識を飛ばしてほしい
システム的な整合性が取れていても、それが使うときに役に立たなければ意味がない。

テーブル設計(データモデル)はビジネスモデルを体現するものとしてあるべきだ。

スティーブン P.ロビンス『組織行動のマネジメント』の紹介

読み終わったので『【新版】組織行動のマネジメント』を紹介する。

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ

 

指標

  • テーマ:組織
  • 文章量:普通
  • 内 容:普通
  • 行 間:普通
  • 推薦度:★★★★☆

内容

第Ⅰ部 組織行動学への招待

第1章 組織行動学とは何か

簡単なイントロダクションだ。組織行動学の定義から始まる。

組織内で人々が示す行動や態度についての体系的な学問

組織行動学は応用分野であるため、心理学、社会学社会心理学、人類学、政治科学などがベースになっている。

そして、組織行動学の目的は人間の行動を、

  • 説明すること
  • 予測すること
  • 統制すること

だ。

第Ⅱ部 組織の中の個人

まず、組織自体ではなく組織の中にいる個人に注目する。

第2章 個人の行動の基礎

個人の行動を理解するうえで必要な心理学の話だ。

  • 価値観
  • 態度(職務満足感)
  • 認知
  • 学習

といった概念を説明している。

第3章 パーソナリティと感情

次に特定の個人をどう捉えるかという話だ。

例えば、パーソナリティについてはマイヤーズ・ブリッグスの性格タイプ・インデックスがある。性格を「INTJ」等の英字4文字で表すものだ。

しかし、実は有効性を裏付ける証拠はないらしい。

本書では代替として、パーソナリティの五要素モデルを紹介している。

他にも、ローカス・オブ・コントロールマキャベリズム、自尊感情、自己監視性、リスク志向、タイプAパーソナリティなどいろいろな概念が登場する。

後半は感情についての話だ。

第4章 動機づけの基本的なコンセプト

第Ⅱ部の山場だろう。よく聞く話がどんどん登場する。

動機付け、すなわち、どうやったら人はやる気を出すかという話。

まず、マズローの欲求五段階論、X理論とY理論、二要因論を説明している。

しかし、これらの古典的な話は綿密な調査には耐えられない。

最新の理論としては、人は達成欲求、権力欲求、親和欲求のいずれかにより行動を起こすというマクレランドの欲求理論がある。

他にも目標設定理論、強化理論、職務設計理論、公平理論、期待理論などを説明している。

第5章 動機づけ:コンセプトから応用へ

実際にどういった方法で従業員のモチベーションを上げ、行動を修正していくかという話。

第6章 個人の意思決定

個人の行動の中で、特に何かを決めるときの話。

まずは、合理的な意思決定プロセスから始まる。

しかし、結局は様々なバイアスや個人差が入り込んでしまう。

第Ⅲ部 組織の中の集団

いよいよ個人が集まり集団となると、という話だ。

第7章 集団行動の基礎

本書では集団を、

特定の目的を達成するために集まった、互いに影響を与え合い依存し合う複数の人々

と定義している。

そして集団は、

  • コマンド・グループ
  • タスク・グループ
  • 利益集団
  • 友好集団

に分かれる。

本章では、ホーソン研究やアッシュ研究など集団の中のメンバーとしての行動、およびグループシンクやグループシフトなど集団全体の行動について説明している。

第8章 “チーム”を理解する

集団の中でも特にチームは特別な形だ。

単なるグループの業績はメンバーの貢献の総和となる。

しかし、チームはメンバー同士がシナジーを生み、その業績は総和以上となる。

チームには、

  • 問題解決型
  • 自己管理型
  • 機能横断型
  • バーチャル・チーム

などがある。

第9章 コミュニケーション

やはり集団にはコミュニケーションが不可欠である。

その役割には、

  • 統制
  • 動機付け
  • 感情表現
  • 情報伝達

などがあげられる。

第10章 リーダーシップと信頼の構築

第Ⅲ部の山場、リーダーシップの話だ。

最初は特性理論、すなわちリーダーシップを発揮する人には何か特別な性質があるのではないかという考え方が主流だった。

次第に行動理論、すなわちリーダーシップには特定の行動が伴っているのではないかという考え方に移る。

そして最近は、条件適合(コンティンジェンシー)理論らしい。

これは、Aという状況にはXのような人が、Bという状況にはYのような人が、と、まさに条件に適合した人が力を発揮するという考え方だ。

フィードラー理論、リーダー・メンバー交換理論、パス・ゴール理論、リーダー参加型理論を説明している。

そして後半では、前半の業務処理型と対比して、カリスマ的リーダーシップについても説明している。

第11章 力(パワー)と政治

本書では力を、

AがBの行動に影響を与え、AがそうさせなければしなかったであろうことをBにさせる能力

と定義している。

力の源泉には公式のものと個人によるものがあるようだ。

後半では力による依存、ハラスメント、連合、政治などが説明されている。

第12章 コンフリクトと交渉

もともと伝統的見解では、コンフリクトは悪であった。

しかし、コンフリクトは避けられないがゆえに受け入れるべきだという人間関係論的見解もある。

そして生産的コンフリクトに限り奨励すべきであるとする相互作用論的見解がある。

後半は、交渉の話だ。

第Ⅳ部 組織のシステム

最後は集団というよりは組織の話だ。

第13章 組織構造の基礎

よくある組織構造の話。

以上に加えて新しめの組織構造、

も説明している。

第14章 組織文化

7つの要因で特徴付けられる組織文化は集団行動の予測に使うことができる。

第15章 人材管理の考え方と方法

採用から始まり、研修・開発プログラム、業績評価について説明している。

第16章 組織変革と組織開発

組織を変えていくという話だが、そもそも組織をどう捉えるのか。

  1. 時たま嵐にも出会うが基本的には静かに海を渡る大きな船
  2. あちこちに障害物があり急流が続く川を下るいかだ

という2つの考え方がある。

まとめ

組織行動論の教科書としてはピカイチだと思った。

会社組織を考えていく中で知っておくべき知識が本当にバランス良く載っている。

ただし、もちろん全ての教科書に共通することとして、もっと深い議論があるのだろうなと感じる箇所は少なくなかった。

著者の主張が書いてあるというよりは、色々な知識や考え方が羅列してある入門書だ。

総括としては、個々のテーマについては別の専門書を読むとして、まず頭の中に地図を描くにはいい本だろう

そして、いかんせんテーマが身近なだけに学んだことを応用する機会もありそうで、そういった意味でもおもしろかった。

このくらいの基礎知識はしっかりと頭に入れておきたいものである。